MBTの調整、その2

2017年から登場しているMBT BOSTONシリーズは、従来のMBTとは違い、軽量・薄型のソールです。
ビジネスやフォーマルなシーンでも履けるように、見た目を極限まで普通のシューズ(ノーマルシューズ)に近づけたものとなっています。履き心地もそれと比例して、MBTとノーマルシューズの中間といった感じです。
私もBOSTON WTを履いています。週に1~2回、主に通勤時に履くようにしています。休みの日などは結構歩き回るので、ペタンコ過ぎて少し疲れてしまいます。
比較的短時間に絞って履けば足裏への刺激がとても気持ちよく感じます。MBT使用歴の長い方にはよくお話しているように、足元は常に同じ環境より、様々なバリエーションに対応させたほうが、結果的に足は強くなります。=路面の多様性に対応するという意味では、BOSTONシリーズもよいトレーニングです。

さて、前置きが長くなりました。
フラットな履き心地が持ち味のBOSTONシリーズですが、やはりお客様からは「この見た目で、もっとMBTらしい履き心地が欲しい」とのお声もあります。
ソール自体は変更できませんし、出来ることといえばインソールを足すことでの調整です。「調整」というよりは「カスタマイズ」と呼んでいいかも。
また、BOSTONシリーズは細身のわりに甲のボリューム(高さ)がかなりあるため、甲の薄い方ですと全体にぶかつきを感じます。これに対しても同様にインソールを足して調整が可能です。
前回紹介したコルクシート、ポロン、フェルト等を使用します。足の状態によって適した硬さの素材を選んでいます。
調整により、かかとの沈み込み感が多少UPします。

こちらは数ヶ月間ご使用いただいたBOSTON LOAFER。
フィット感が落ちてきたので調整しました。
ボリュームを足すだけだとどんどん革が伸びてしまいますから、お預かりついでに形も少し整えています。
マルチクリーナーでアッパーを湿らせてから、シューツリーを入れて縦方向にテンションをかけ、ベルト状のもので中足部~かかとを締めました。

画像のようにリフレッシュ。インソールも変えました。
普段から丁寧に履いていただいているため、ある程度形が復元できました。手間をかけると生き返るのが革靴の良さです。
※靴紐タイプの紐を締めたまま着脱したり、ヒールカップを踏んで変形してしまっていたりする場合は、形は戻りません。

余談ですが、その昔、革の学生カバンを紐で縛ってお湯をかけてつぶしていた過去を思い出しました。1980年代の埼玉県です(笑)。革製品って面白いほど形が変わるんだな、と思いました。
注:靴にはお湯などかけないでください。


MBTでは甲のボリュームが大き目の製品がよく見受けられます。
欧米人寄りのラスト(木型)を使っているため、そうなります。甲の薄い私たちアジア人が履くと、紐を締めても締め足りなかったり、ベルトが長すぎたり。
たまにヨーロッパ圏からいらしたお客様に販売しますと、シリマなんかも見ていて気持ち良いほどにジャストフィットします。
今後アジアンフィットのMBTが増えると良いのですが。当店からメーカーへも要望はしつこく出していますので、2019年以降に期待してお待ちください。

既存の製品には、必要に応じてかかとの内側や甲にボリュームを足すことも。
ミシンを使う場合、2~3日のお時間をいただきます。
調整によってマイナスがゼロに戻るだけでなく、さらにプラスの履き心地になるように、調整方法も試行錯誤しています。

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